ドイツ通信 バイエルンの「すっぴんスイーツ」 - アプフェルシュトゥルーデル

南ドイツの神髄とも言うべき伝統スイーツ、「アプフェルシュトゥルーデル」、ドイツ語で、アプフェルはりんご、シュトゥルーデルは「渦巻きパイ」のことです。
つまり、りんごのフィリングを巻き込んで焼いた焼き菓子です。

オーストリアの国民的スイーツとして知られていますが、ドイツのバイエルン地方は歴史的にも文化的にもオーストリアとの繋がりが深く、ここでも郷土料理として愛され続けています。
典型的なバイエルンのお店やカフェでは必ずメニューにアプフェルシュトゥルーデルがありますし、自宅の庭で取れたりんごを使って家庭で手作りされることも多いです。

バイエルンの人々の日常には、アプフェルシュトゥルーデルが欠かせません。

生地の材料は、水、小麦粉、そしてサラダ油。 基本的にたまごは使いません。
混ぜて、せっせと捏ねて、台にばしばし打ち付けて、また捏ねてをひたすら繰り返し。

この作業をどれだけ念入りに行うかが生地の細やかさと弾力性の決め手になるそうです。

そして、暖かい場所でしっかり生地を寝かせるのも大事なポイント。
フィリングのりんごには、甘くて酸味のあるものが向いており、2kgとか2kg半とか大量に使います。

他に、レーズン、粉砕ナッツ、シナモン、砂糖、そしてバターでかりっと炒めたパン粉も大事な脇役です。

生地とフィリングの基本準備が整ったら、ここからちょっぴりチャレンジな行程へ。
台の上で麺棒で生地を平らにしてから、持ち上げて手で引っ張って伸ばしますが、このとき「生地を通して向こう側の新聞が読めるくらい薄く、それでいて破れないように」という状態が理想的とされており、前腕全体を使って大胆にかつ注意深く伸ばしていきます。
生地が好みの大きさ&薄さになったら、いよいよ具を巻き込む作業へ。

下に大きめの布巾を敷いてその上に生地を乗せ、フィリングの材料を全体的に均等に広げて、布巾の助けを借りながら手前からくるくると巻いていきます。
ちょうど日本の「巻き寿司」の要領ですね。

しっかり巻き巻きして、両端を閉じたら、上にバターを塗ってオーブンへ。

家庭で手作りする場合は、バターの代わりにサラダ油を使ったり、アレルギーのあるナッツははずして別なものを入れたり、レーズンが苦手がらカットしたりと、それぞれの好みやニーズに応じての変更が可能なのも嬉しい点です。

また、伸ばすときにうっかり生地に穴が開いちゃっても、シュトゥルーデルの大きさが多少違っても、そこはホームメイドのご愛敬。
ちゃちゃっと周辺の生地を引っ張って補強したり、オーブンの天板に治まるように整形すればOK。

30分から45分焼いたらできあがり。
甘さ控えめ、シナモン風味がアクセントの飾らないお菓子です。

アイスクリームやバニラソースを添える食べ方もありますが、伝統的には粉砂糖をちゃちゃっと振りかけただけでそのままプレーンで頂きます。

焼きたてのさくさく・熱々もいいけど、冷たくても後から温め直しても美味しいですよ。
秋から冬にかけて、ドイツではりんごが特に美味しい季節。

バイエルンの人々が大好きなアプフェルシュトゥルーデルは、チョコもシロップもリキュールも要らない、中身勝負の素朴で飽きない「すっぴんスイーツ」です。