ドイツ通信・冬の魔法 アイスクリスタル

クリスマスや年越しのお祝いムードが落ち着いて、学校も再開、ドイツにもたんたんとした日常が戻ってきました。

気温が氷点下まで下がることも多く、「祭りの後」の寂しさも手伝って、なんとなく心身ともに寒々とした気分に包まれることも。
森の小道
ですが、そんな冬ならではのスペシャルイベントもあります。

今日はそんなサプライズの1つ、自然が織り成す氷のマジックのお話です。
緑の葉っぱに針状のアイスクリスタル
この時期、夜の間に気温が下がり、車の窓が凍っていたり、植物の葉っぱや枝に氷の結晶がみられることがあります。

寒い夜、物体の表面に空気中の水蒸気が固体化してできた氷晶(アイスクリスタル)、つまり「霜」と呼ばれる現象で、日本でもお馴染みですね。
原っぱとアイスクリスタルをかぶった木々
慌ただしい朝、通勤間際の車のウィンドーの霜は厄介ですが、殺風景な真冬の最中、このアイスクリスタルはあちこちで素敵な風景を演出してくれます。
青空とアイスクリスタルを纏った木々
この時期、晴天の日に戸外を歩くと、なんとも幻想的なシーンに出会います。

凍結した牧草地で野生種の馬たちが樹氷を纏った木々を背景にくつろいでいたり、まだ植物が残る原っぱに氷晶をかぶった木々がたたずんでいたり。
凍結した牧草地の野生種の馬たち
くっきりと澄み切った青空のもと、氷の結晶に被われた木々ははっとするほど魅惑的ですね。

森の小道全体が霜に包まれていたり、糖衣をかぶせたような木々を背景に川で泳ぐあひるたちも、北国の冬ならではのシーンです。
川のあひるたち
アイスクリスタルにはいろんな形状のものがあります。

細い針状にできたり、葉っぱなどのの輪郭に沿って厚く積もることもあれば、タンポポの綿毛みたいにふわふわ繊細な様子のものも。
たんぽぽの綿毛ようなアイスクリスタル
どこにどんな形で霜ができるのかについては、気温や湿度など複数の要素が関係しているようですが、特に風上の方向に厚く成長するらしいです。

日本語にも、「霜がおりる(降りる)」とか「霜がふる(降る)」とか、同じ氷晶でもニュアンスの異なる言い方がありますね。
葉っぱの残る植物上に発生したアイスクリスタル
ドイツ語でも、単に冷えた物体上で水滴が結露したものと、空気中で風に運ばれた湿気が凍結したものと、それぞれ違う呼び名があるのが興味深いです。

コロナ下でバカンスもままならない真冬の南ドイツですが、自然のマジックは私たちを魅惑の異世界へと連れて行ってくれます。
近所の学校のサンゴ低木
近所の学校の低木が雪を被ってサンゴみたいな形になっていたり、木々に尖った針状のアイスクリスタルができてサボテンみたいになっていたりと、冬の戸外にはびっくりがいっぱい。
枝にできた針状のアイスクリスタル
氷点下の夜にひっそりと出現するアイスクリスタルの世界。
凍った池でスケート
寒がりの私は、池に氷が張ってスケートできちゃうような季節はじつはあまり得意ではないんですが、冬場限定の自然の魔法を今はできるだけたくさん発見して、満喫しようと思います。